■過払い金の計算方法
■過払金請求への対応に追われる金融業界
前回コラム「任意整理の計算方法」では、残債のある状態における債務額の計算方法を述べました。
たとえ法定利息内の年利18%とはいえ、日々の利息は合計額で考えると相当に高くなりますから、月々まじめに返済していても元金はなかなか減らず、多重債務状態から抜け出せない状態が続いてしまうのです。
消費者金融やカード会社は、こういった高金利で莫大な収益を上げ、次々に店舗を拡大してきたわけですが、昨今では状況が一転し、店舗を閉鎖したり金融部門を閉鎖・分離したりと苦境に立たされています。
これはグレーゾーン金利撤廃によって、これまでのような超高金利での貸付が今後できなくなることに加え、全国の元顧客から過払い金の返還請求を受けていることも要因の一つといえます。
■過払い金には利息がつきます
この場合、消費者金融やカード会社のほうが過払い金の支払義務を負う”債務者”となります。消費者金融やカード会社は、元顧客に対して過払い金を返還しなければならなかったのに返還していない状態にあるわけですから、過払い金の元金はもちろん、法定利息である年利5%の利息を付けて返還する義務があります。
現時点で既に100万円の過払い状態であると仮定し、これに気づかずまだ債務があると思いながら毎月3万円ずつ2年間(24回)返済し続けた場合、過払い金はいくらになるでしょうか。実際にやってみましょう。
■過払い金の計算式
◎過払い金が既に100万円出ている状態で、さらに毎月3万円ずつ24回返済した場合の過払い金返還請求額
※過払い金に対しては、法定利率である年利5%がつきます。便宜上、利息を簡略化し月利0.417%(年利5%÷12ヶ月=月利)と固定します。
※厳密にやると日利計算となりますから、もう少し複雑になります。次回取引までの金利は「年利÷1年の日数(通常365日ですが今年はうるう年なので366日)×経過日数(借入当日は不算入、翌日から次の返済または借入までの日数)」という式で算出されます。
■1ヵ月後
利 息:4170円(100万円×0.417%)
返済後過払金(元金):103万円(100万円+3万円)
元利合計:103万4170円(103万円+4170円)
■2ヵ月後
利 息:4295円(103万円×0.417%)
返済後過払金(元金):106万円(103万円+3万円)
利息合計:8465円(4170円+4295円)
元利合計:106万8465円(106万円+8465円)
■3ヶ月後
利 息:4420円(106万円×0.417%)
返済後過払金(元金):109万円(106万円+3万円)
利息合計:1万2885円(8465円+4420円)
元利合計:110万2885円(109万円+1万2885円)
・
・
・
■22ヵ月後
利 息:6797円(163万円×0.417%)
返済後過払金(元金):166万円(163万円+3万円)
利息合計:12万0629円(11万3832円+6797円)
元利合計:178万0629円(166万円+12万0629円)
■23ヵ月後
利 息:6922円(166万円×0.417%)
返済後過払金(元金):169万円(166万円+3万円)
利息合計:12万7551円(12万0629円+6922円)
元利合計:181万7551円(169万円+12万7551円)
■24ヵ月後
利 息:7047円(169万円×0.417%)
返済後過払金(元金):172万円(169万円+3万円)
利息合計:13万4598円(12万7551円+7047円)
元利合計:185万4598円(172万円+13万4598円)
■過払計算の結果を分析
2年前の段階で既に生じていた過払金100万円と、その後2年間で返済した72万円(月々3万円×24回)の合計額は172万円で、これが過払い金の元金となりますが、さらに利息が約13万5000円ついて全部で約185万5000円の過払いとなっています。この元金と利息を合わせた額が、消費者金融やカード会社に対する返還請求額です。
※返済途中で借入をした場合には、累積している過払利息(上記計算の「利息合計」の部分)から借入額分だけが差引かれ、これより大きい借入をした場合には、足りない分だけ過払金の元金(上記計算の「返済後過払金(元金)」)から差引いて計算します。
■高い利息を払った上での過払いです
この結果だけを見ると、こんな高額の過払金を利息まで付けて請求されてしまう相手方を気の毒に思ってしまう方もいらっしゃるかも知れません。しかし過払い金というのは、年利15%〜20%という高額の法定利息を消費者金融やカード会社に支払った上で、さらに払い過ぎていた部分であることを忘れてはいけません。十分高い金利を払った上での払い過ぎなのです。
また、こうして算出された過払い金を満額回収することは、実際問題として簡単ではありません。消費者金融やカード会社は少しでも返還額が少なくなるように、独自の計算式を用いて「こちらの計算では○○円の過払いとなりましたので、この額を基準にお話を…」と交渉を持ちかけてきますが、この計算式はほぼ例外なく、法定利息つきの計算式を用いていない法律上何ら根拠のないものです。また実際の返還額は、この独自計算を行った結果からさらに割引した提案をしてきますから、黙って相手の提案を聞いているだけでは、本来支払を受けられる金額とはかけ離れた内容となってしまう危険があるのです。
こうした姑息な手段に対抗するには、交渉による解決だけでなく、常に訴訟という手段を背景にした強い姿勢で臨むことが不可欠であると当事務所では考えております。
当事務所では現在も毎週のように過払請求訴訟を提訴しており、着実な回収実績を有しておりますので、まずはご相談いただければと思います。
→コラムトップ
→過払い金と裁判(前編)
→過払い金と裁判(中編)
→過払い金と裁判(後編)
→完済していても過払い金を請求できる?
→過払金請求上の問題(取引期間が非常に長い場合)
→過払い金の回収 解説ページへ
|