ホーム債務整理コラム・Q&A > 自己破産における按分弁済・任意配当と少額予納管財(S管財)

自己破産における按分弁済・任意配当と少額予納管財(S管財)

 
頻繁なギャンブル、高額な買い物など、自己破産する上で問題視される行為があるケースについて、申立側が資産の一部を全債権者に対して公平に自主的返済し、その返済が確認された段階で、裁判所が「破産手続開始決定」を出して「同時廃止」とする手続方式があり、按分弁済(あんぶんべんさい)任意配当(にんいはいとう)などと呼ばれていました。
 
※平成30年追記:名古屋地方裁判所本庁では、問題事情のあるケース、適正な調査が必要となるケースについて、幅広く「少額管財」事件を適用する方向の運用にシフトしており、この按分弁済・任意配当制度は、現在では実施されていません。
 
愛知県弁護士会と名古屋地方裁判所が協議の上作成したマニュアルにおいても「同時廃止のための按分弁済は認めない」と明記されています。
 
 

按分弁済・任意配当

 
前述のとおり、かつては自己破産申立後「破産手続開始決定」が出される前に、自己破産申立側で、財産の一部を債権者に対して公平に分配することで、比較的広く「同時廃止」を通す手法がありました。
 
浪費やギャンブルなど、ただちに「同時廃止」を認めることが問題と思われる事情のあるケースについても、自主的な一部返済が完了している事を一種の条件にして破産決定を出し、そのまま同時廃止で破産手続を終了させることで、比較的短期間のうちに免責を得ることが可能なケースもあったわけです。
債務者(自己破産を申し立てた方)にとっては、早期解決という点でメリットのある運用であったと思います。
 
ただ、自己破産という制度は本来、原則的に破産管財人が就任して、きちんと破産者の資産・負債の状況を調査するべきものです。
 
「同時廃止」で破産手続を終えてしまう場合、破産者の資産・負債の調査や、弁済の実施を申立人の代理人弁護士だけで行うことになるため、債権者の範囲や債権額の認否の正確性、弁済の妥当性をどう担保するのか、という大きな問題があったことも事実です。
 
こうした問題から、現在では名古屋地方裁判所における自己破産申立事件について、按分弁済・任意配当という制度は消滅しています。
 
 

少額予納管財(S管財)

 
現状、「同時廃止」で進めることが相当でないケースのうち、破産管財人が行うべき業務が比較的少ない、簡易な事案と判断されたケースは、裁判所に納付する「予納金」を、通常の破産管財事件(通常管財)の半額程度で済ませる「少額予納管財(S管財)」によって対応する処理が一般的です。
 
少額予納管財での「予納金」は通常20万円であり、ご本人の金銭的負担という意味では、裁判所から按分弁済を指示された場合に必要となる金額と大きな違いはないことが多いかと思います。
 
また、手続の適正が破産管財人および裁判所によって監督されるという点で、あるべき姿への変更にもなっていると思います。
 
もちろん、同時廃止に比べれば、原則通り破産管財人が就任して、債権者集会の期日も定められますから、自己破産を希望されるご本人にとっては、免責確定までの期間が少し長引くことになるのは事実です。
 
ただ、自己破産・免責許可によって原則的に全ての債務について返済義務の免除を得ようとするわけですから、破産・免責という手続は、そう軽いものではありません。きちんとした手続を踏むためには、やむをえない部分かと思います。
 
 

少額予納管財(S管財)の要件

 
少額予納管財は、「弁護士」に依頼をされて、代理人弁護士による自己破産申立を行った場合にのみ適用がある制度です。
 
「司法書士」に自己破産を依頼された場合、少額予納管財が適用されないため、半額になる前の予納金40万円を裁判所に納付しなければならなくなる可能性がありますから注意が必要です。
 
こうした意味でも、「弁護士に自己破産を依頼する」ことが、ただちに「費用が高い」という結論にはなりません。
 
当事務所は弁護士費用の体系もかなり負担の軽い内容となっており、弁護士費用の長期分割払にも柔軟に対応しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
 
まずは「名古屋駅 弁護士の無料法律相談」をお申込ください。