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「同時廃止基準」とは? 同時廃止で、いけますか?

同時廃止基準(「同時廃止」の適用条件)が、平成30年1月1日より、名古屋地方裁判所にて改定されています。
 
あなたのご事情は、「同時廃止基準」をクリアしているか? まず確認しましょう!
 
「同時廃止基準」は少し複雑で、事前の判定が難しいケースもありますから、ご自身で判定するのではなく、弁護士にご相談ください。
 
現時点では「同時廃止基準」をクリアしていない恐れがあったとしても、生活状況をきちんと改善し、不明確な部分を解消しておくことで、結果的に同時廃止が認められるケースもあります。
 
弁護士から、同時廃止の見通しや、解決すべきポイントについて、具体的なご説明とアドバイスを差し上げます。
 
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「管財事件」の様々な負担を考えると、可能な限り「同時廃止」での進行を、裁判所に認めていただきたいところです。
 
「自分のケースは、同時廃止でいけるのか?」
「同時廃止の条件とは、どういったものか?」

 
疑問やご不安もあるかと思いますが、まずは詳しいご事情をお聞かせください。
 
「同時廃止」「管財事件」の振り分けを最終的に決定するのは裁判所ですから、事前に100%の予測をすることはできませんが、過去の取扱事例も参考にしつつ、可能な限り「同時廃止」を目指す破産申立のプランをご提案します。
 
まずは「名古屋駅 弁護士の無料法律相談」をお申込みください。

 

同時廃止の基準とは

 
各地方裁判所で、「同時廃止」の適用条件(同時廃止基準)を定めています。
この基準をクリアできなければ「管財事件」となるため、「同時廃止基準」は裏から言うと、「管財事件になる基準」でもあります。

 
名古屋地方裁判所での「同時廃止基準」は複数設けられており、まず「財産が一定額を下回っていること」という財産面の条件があります。
次に「管財事件となる要因が無いこと」という消極的条件が複数定められています。
 
同時廃止が認められるためには、これらの条件を全てクリアする必要があります。

 

【 同時廃止基準 ご注意点 】(1)

 
「同時廃止基準をクリアしている」という状態は、固定的なものではありません。
 
法律相談の時点では「同時廃止基準をクリアしている」と判断できる状態であったとしても、時間の経過、状況の変化によって、事後的に同時廃止基準をオーバーしてしまうことがありますから注意が必要です。

 

事後的に同時廃止基準を
オーバーする場合(一例)

 
弁護士に相談や依頼をされた後で、浪費的な生活、ギャンブル、親族への優先的弁済、財産隠し、換金行為など、管財事件の原因となる問題行動をしてしまった場合
 
★弁護士費用の積み立てを完了した後、破産申立のための資料準備に時間を要してしまい、その間に得た給与やボーナスによって財産が増え、「同時廃止の財産基準」をオーバーしてしまった場合

 
このように、現時点で「同時廃止基準をクリアしている」と判断されたとしても、その後の生活態度や破産申立へのご協力状況によっては、事後的に同時廃止基準をオーバーして管財事件となってしまう可能性もあります。
 
現時点で「同時廃止基準をクリアしている」と判断可能な方については、こうした問題行動のないよう、慎重かつ迅速に破産申立準備を進めなければなりません。
 
逆に、現時点では「同時廃止基準をクリアしているか微妙」という方であっても、きちんと生活態度を改善し、破産手続上の問題事情を解消しておくことで、結果的に同時廃止が認められる可能性もあります。
 
どのようなケースであっても、可能な限り「同時廃止」が認められるように努力させていただきます。
弁護士が具体的な進め方、注意点などを整理し、アドバイスを差し上げます。

 

【 同時廃止基準 ご注意点 】(2)

 
同時廃止基準は、裁判所によって異なります。当ページにてご紹介しているのは、名古屋地方裁判所の基準です。
 
東京や大阪など、他地域の運用はまた異なる可能性がありますから、この点はご注意ください。
 
 

同時廃止基準:1
「財産」の基準をクリアしていること

 
あなたが所有する「財産」の金額に関する同時廃止基準です。以下2つの基準があり、両方をクリアする必要があります。

 

【 同時廃止 財産基準:1 】

 
「普通預金」と「現金」の合計額が50万円を超えないこと

 

【 同時廃止 財産基準:2 】

 
普通預金・現金「以外」の財産(「保険」「自動車」「退職金」など)について、個別ジャンルごとの価値が20万円を超えないこと
 
「自動車」は、普通自動車・軽自動車ともに、推定新車価格(実際の購入価格ではなく、メーカー発表の車両本体価格)が300万円以下の国産車であり、かつ初年度登録後から7年以上経過したものについては、原則として無価値とみなす。
 
「退職金」は、原則として支給予定額の8分の1で換算する。

 

<具体的な考え方の一例>

 
★普通預金20万円、手持ち現金10万円がある状態
→ 両方合計して50万円の範囲内なので基準クリアです。

★生命保険の解約返戻金が30万円ある状態
→ 20万円を超えているので基準オーバーです。

★退職金の予定額が120万円ある状態
→ 退職金は原則「8分の1」換算のため、15万円相当の財産となり基準クリアです。

★自動車の価値が100万円ある状態
→ 20万円を大幅に超過しているので基準オーバーです。

★未払い給与が計算上、100万円以上ある状態
→ 20万円を大幅に超過しているので基準オーバーです。

 
以上のとおり、「財産」の基準については、限界ラインが数字で示されているため、「あなたの保有財産が、同時廃止基準の範囲内かどうか」という判定は、比較的容易です。

 
今回の破産申立に必要となる弁護士費用を差し引いた後の財産価値が、明らかに同時廃止基準をオーバーしている場合には、この段階で「同時廃止」での進行は困難と判断せざるを得ず、「管財事件」としての方針を検討していくことになります。

 

同時廃止基準:2
「免責観察型」の管財事件に該当しないこと

 
浪費やギャンブルなどの「免責不許可事由」に該当する行為がある場合、その頻度・期間・使用金額が一定程度を超えると「同時廃止」が認められず、ご本人の生活状況を破産管財人が一定期間監督する「免責観察型」の管財事件となります。

 
管財事件になる場合、このタイプに該当する方が非常に多いです。

 
ただ「浪費」といっても、何を・何回・何円使った場合に管財事件となるのか、「ギャンブル」といっても、パチンコや競馬に何回・何円使った場合に管財事件となるのか、具体的な数値が公式に定められているわけではありません。
 
ここは、裁判所がケースバイケースで総合的に「同時廃止」を認めるか否かを判断します。

 
このため「同時廃止が全く無理とは思えないが、管財事件になっても不思議ではない」というボーダーライン上のケースも多く、事前の予想が非常に難しい部分となっています。

 
当事務所としては、問題となりうる事情が多少みられたとしても、破産申立の前に生活状況をきちんと改善し、不明確な財産状況などを明らかにしておくことで、「同時廃止」が認められる可能性を高めることができると考えています。

 
当事務所で扱った過去の類似事例も参考にしつつ、「同時廃止」か「管財事件」か、当事務所の見通しを立て、可能な限り「同時廃止」の可能性を高めていく具体的なプランをご提案します。

 

同時廃止基準:3
「財産調査型」の管財事件に該当しないこと

 
財産の流れ・財産状況に不明確な点があり、破産管財人による財産調査が必要と判断された場合、同時廃止は認められず「財産調査型」の管財事件となります。
 
以下のような観点から、疑いのかかる行動がないように注意してください。

 

「財産調査型管財」に移行する要因(一例)

 
・申告されていない、隠し財産が存在する疑いがある

・不動産や自動車の名義を、親族や配偶者に変更した疑いがある

・使途の明らかでない支出があり、調査の必要があると判断される

・回収可能な債権が存在する可能性がある

・管財事件を回避するため、必要のない財産処分を行って財産を減らそうとした疑いがある

 
このように破産手続上の問題行動をしてしまうと、その内容を調査するために「管財事件」とされるリスクが高まります。
 
どういった行為が問題となるのか、「やってはいけない事」は何なのか、早い段階で弁護士の無料法律相談を受け、きちんとした知識を得ておいてください。

 

同時廃止基準:4
「否認型」の管財事件に該当しないこと

 
「否認」とは、破産手続において、破産者ご本人の財産が不正に外部流出している場合に、流出原因行為を無効化させる手続のことです。破産管財人は状況に応じて否認権を行使し、不正に外部流出した財産を取り戻すことを重要な業務の一つとしています。

 
否認権行使によって20万円以上の財産回収が見込まれる場合、同時廃止は認められず、「否認型」の管財事件となります。

 
以下のような行動が「否認型」として問題となりがちですから、注意してください。

 

「否認型管財」に移行する要因(一例)

 
・弁護士に破産申立を依頼する直前、親族や知人に対して資金援助を行った
・破産準備中に、お金を借りていた親に対して弁済を行った

 
このように破産手続上の問題行動をしてしまうと、その内容を調査するために「管財事件」とされるリスクが高まります。
 
どういった行為が問題となるのか、「やってはいけない事」は何なのか、早い段階で弁護士の無料法律相談を受け、きちんとした知識を得ておいてください。

 

可能な限り、同時廃止を目指します

 
同時廃止が認められるためには、以上のように様々な条件をクリアする必要があります。

 
現時点で「同時廃止の基準をクリアしている」と思われるケースについては、今後の行動によって管財事件になってしまうことが無いよう、禁止行為・不正行為に注意しながら破産申立準備を進めていきます。
 
同時廃止か管財事件か、ボーダーライン上と思われるケースについては、まず生活内容をきちんと改善し、不明な点や不審な点を可能な限り事前に明らかにしておくことで、同時廃止が認められる可能性を少しでも高められるよう破産申立準備を進めます。

 
まずは「名古屋駅 弁護士の無料法律相談」をお申込みください。