倒産・破産によって、「取引先に迷惑を掛けたくない」というお気持ちは、経営者として当然のことかと思いま…
準自己破産 取締役会決議ができない場合の会社破産
★取締役がバラバラに離散して、連絡が取れない
★自己破産を決議するための取締役会が開催できない
こうした状況であっても、「準自己破産」という申立方式により、会社を破産させることができます。
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準自己破産は特に難しい手法ではなく、一般的な会社破産の申立と、ほぼ変わりない展開となるケースが多いです。
具体的な進め方を、弁護士からご説明します。
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「会社が破産する」決議の方法
株式会社が「自己破産する」という決断をする場合、その意思決定機関は「取締役会」です。
取締役が集まって「取締役会」を開き、「自己破産する」という取締役会決議を行った上で、代表取締役が会社を代表して自己破産申立を行う(実際には代理人弁護士が申立を行う)形が基本です。
取締役会を設置していない会社については、自己破産申立について取締役の同意書を取り付ける形となります。
取締役会を開けない事情のあるケース
会社が破産する場合、取締役会決議による意思決定が基本となりますが、実際には、「廃業からしばらく時間が経過した会社」が自己破産しようとした場合、以下のような状況が時々みられます。
「取締役の仲が悪くなってしまい、連絡しても応じてもらえない」
「取締役がバラバラに離散しており、所在不明の取締役がいる」
社長さん(代表取締役)が、「自分がこれから破産するにあたって、一緒に会社も破産しておこう」と考えた時、取締役間の関係がもうバラバラになっていて、取締役会の開催や、同意書の取り付けが事実上難しいケースがあるのです。
ただ、こうした場合でも以下のとおり「準自己破産」という申立方法を用いることで、通常は問題なく会社破産の手続を進めることが可能となっています。
準自己破産の申立
法人の取締役や業務執行社員は、単独で、法人の破産手続開始申立を行うことができます。
いわゆる「準自己破産」と呼ばれる手法です。
法人自体が、取締役会など適正な意思決定機関の決議にもとづいて行なう破産申立ではないため、法律上は「自己破産」とは少し異なる部分があります。
具体的には、法人が適正な意思決定機関の決議を経て破産申立を行う場合、支払不能など破産手続開始原因の「疎明(そめい)」は、法律上要求されませんが、準自己破産の場合には、原則的に破産手続開始原因の「疎明」が求められます。
※「疎明」というのは、ハッキリした「証明」までは求めないものの、一応間違いないだろうと思ってもらえる程度の説明は必要という意味です。
この違いは、準自己破産の申立が平取締役1名でも可能であることから、「破産するかどうか、取締役間で意見の分かれるケース」や「支払不能状態かどうか、ただちに明確でないケース」についてまで、準自己破産申立が濫用的に用いられることを防止する趣旨で設けられています。
ただ実務上、準自己破産が用いられるのは「廃業からしばらく時間が経過しており、他の取締役と連絡がつかない・協力を得られない」という状態の小規模会社が破産したいケースが多いのではないかと思います。
このように取締役がバラバラになっている小規模会社は、すでに業務を完全停止していて営業再開の見込みは全く無い上、大幅な債務超過状態にあるケースも多く、こうした場合であれば支払不能状態を疎明することは容易です。
したがって準自己破産の場合でも、多くのケースでは破産手続開始決定のハードルが特に上がるわけではなく、実際には一般的な会社の自己破産申立の場合と、ほぼ変わらない進行になります。
準自己破産 取締役会決議ができない
場合の会社破産 まとめ
以上のとおり、会社の取締役が全員協力できないケースであっても、会社破産を行う上では、大きな問題にはならないケースが多いです。
会社が完全に営業停止し、賃貸テナントなども退去完了して営業組織の実体が何も残っていない状態になった後、しばらく時間が経過してから、社長さんが「会社と自分、まとめて破産したい」と希望されるケースは、全く珍しくありません。
事業の実体が何も残っていない小規模会社が破産する場合、準自己破産であっても少額管財の適用を狙っていくべきケースもあります。
可能な限り、費用負担の軽い形での解決プランを提案させていただきます。
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破産法第19条
1項 次の各号に掲げる法人については、それぞれ当該各号に定める者は、破産手続開始の申立てをすることができる。
1号 一般社団法人又は一般財団法人 理事
2号 株式会社又は相互会社(保険業法(平成7年法律第105号)第二条第五項に規定する相互会社をいう。第150条第6項第3号において同じ。) 取締役
3号 合名会社、合資会社又は合同会社 業務を執行する社員