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完済していても過払い金を請求できる?

完済して何年も経つけれど…?

既に完済していても、多くのケースにおいて過払い金を請求可能です。
 
もっとも、現在取引が続いている状態とは異なり、少し工夫した対応が必要となる場合もありますから、分けて解説をしてみましょう。
 

関係資料が残っていない場合は?

 
「借入に使っていたカードや契約書等がもう残っていない」と諦めていらっしゃる方がおりますが、そういったものは特に不要です。
 
どこから借りていたか、会社名だけ覚えていれば、あとは当事務所からその会社に連絡して完済までの取引履歴を取り寄せまずから、十分対応が可能となっております。
 
次に取引履歴が相手方(消費者金融やカード会社)にて破棄されている場合です。
 
過払い金の請求額は、「いつ、いくら借りて返した」という取引の履歴を相手方から取り寄せ、法定利息で再計算することにより算出されます。
 
取引の履歴が相手方に保存されていない場合、計算するための資料がないので少々面倒なことになってきます。
 
貸金業法施行規則17条では、取引履歴は完済後も貸金業者側で10年間保管することとされていますが、この規定は先般改正されるまで3年間と定められていたものですから、中小規模の金融会社などでは古い取引履歴について既に破棄してしまったと回答されることもあります。
 
このような場合の対処方法ですが、当事務所で扱った事例としては、返済用通帳に記載された引落履歴と債務残高から、借入情況を推定計算して訴訟を行ったものがあります(最終的には和解で終了し、ほぼ満額の回収に成功)。
 
もっとも、過払請求の相手方として多数を占めている大手の消費者金融・カード会社であれば、実際上は3年どころか10年以上前の取引履歴まで自主的に保管しており、全て開示されるケースがほとんどですから、それほど心配する必要はないでしょう。
 
こういった対応の相談も含めて、まずはご相談いただければと思います。
 

完済してから時間が経っている場合は?

過払い金の請求権は、請求しないまま10年間が経過すると消滅時効にかかってしまい、相手が時効を援用した場合には請求することが出来なくなります。
 
完済からちょうど10年経過した直後に当事務所へご依頼を頂くようなケースもあり、とても残念な結果となってしまう事もあるのです。
 
また、完済から10年間経過していない場合であっても、最終的に完済するまでの長い取引の途中で何度か完済・借入を繰り返してきたという方もいらっしゃいます。
 
こういった場合は、「一度完済していてもまたすぐ借入をしている以上、全体的に見て継続的な一つの取引を続けている」と判断するか、「完済によって取引が一旦終了した」と判断するかで結論が大幅に変わってくることがあります。
 
途中で完済していても、次の借入再開までの期間が短く、全体として一連と見ることが出来るようなケースでは、最終完済の時点から10年が経過していない限り、全ての取引経過から生じた過払い金を一連計算で請求することができます。
 
こうしたケースでは、長期間取引を行い最終的に完済しているわけですから、過払い金の元金および法定利息(年利5%)がかなり生じており、過払い金の返還請求額は非常に高額になることが期待できます。
 
一方、完済から借入再開までの期間が比較的開いている、契約書を再度取り交わしているなど諸般の事情から総合的に判断して、それぞれが分断した別個の取引と言わざるを得ないようなケースでは、過払い金の算定根拠とすることができるのは、完済によって区切られたそれぞれの取引のうち完済時から10年を経過していないものだけに限られてしまいます。
 
こうしたケースでは、現実的に請求可能な過払いの金額も、思っていたよりずっと少なくなってしまうことがあります。
 

完済すると不利になる?

以上のように、完済をしていると法律的に請求可能な過払金額が減ってしまい不利になる可能性も出てくるので、むしろ完済せずに取引を続けていたケースの方が、過払金請求上は有利という結論となってしまいます。
 
まじめに返済してきて何度も完済しているのに却って不利になるというのは全く困った話ではありますが、実務上はどうにも難しいところです。
 
この「取引を一連と見るか分断と見るか」という問題は、明確に定められた基準がなく、どちらと判断するかによって過払金の計算結果が大幅に変わってきてしまいますから、交渉・訴訟いずれの段階においても大きな争点となります。
 
ケースによってこちら側の有利不利がありますので、当事務所としては相手の出方を見極めながら最大限の回収額を目指し、交渉または訴訟を進めております。
 
時効成立の危険性を回避するためにも、まずは早めにご相談下さい。

カテゴリ:過払い金 2018/07/12