自己破産しても手元に残せる財産は、原則的に「合計99万円まで」です。 ただし、裁判所に…
破産管財人とは? 破産管財人がついた場合、どうなるか?
「破産管財人」とは、裁判所から選任されて、破産手続における財産の換価や債権者への配当、免責判断の調査などの重要な業務を遂行する専門家です。実務上は、地域の弁護士の中から選任されます。
■破産管財人の中心的な業務は、あなたの持つ「自由財産」以外の財産をお金に換えて(換価し)、あなたの債権者に公平な配当を実施することです。
■破産管財人が裁判所に提出する「免責に関する調査報告書」は、裁判所が免責の可否を判断する際、重要な参考資料となります。
■自己破産した方ご本人は、破産管財人の調査に協力し、説明を求められた事項は正直に回答しなければなりません。
管財事件になると、あなたの知らない弁護士が「破産管財人」に就任して、あなたの財産調査や生活監督を実施しますから、少し緊張されるかもしれません。
当事務所の弁護士が「申立代理人」としてサポートしますから、心配されなくても大丈夫です。
詳細は、面談にて弁護士からご説明を差し上げます。
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どのような場合に破産管財人が選任されるか
まず「債権者への配当が見込まれるケース」は、実際に配当業務を実施する公平な立場の専門家が必要ですから、破産管財人が選任されます。
つまり同時廃止は認められず、管財事件となります。
次に、「配当の原資となる財産が不正に流出している疑いがある」「財産隠しの疑いがある」「免責不許可事由の存在が疑われる」など、詳細な調査・検討や具体的対応が必要と判断されるケースについても、破産管財人が選任されます。
このように「破産管財人が選任されるか」という問題は、「同時廃止が認められるか、管財事件となるか」あるいは「同時廃止基準をクリアしているか」という問題と同義です。
破産管財人が選任される事由は複数あり、一応の基準は設けられているものの、最終的には裁判所の総合判断となるため、事前に100%の予測をすることはできません。
破産管財人の業務内容(1) 破産財団を増加させ、配当する
破産管財人の業務は多方面にわたりますが、破産する方ご本人にとって関係が深い部分を重点的にご紹介します。
破産管財人の最も基本的な業務は、破産した方の財産を1円でも多くお金に換えて、債権者に対して公平な配当を実施することです。
この配当原資となる財産を「破産財団」といいます。
破産管財人は、破産した方の財産を換価し、不正に流出した財産を取り戻し、配当原資である破産財団を増加させることを目指して業務を進めます。
このため破産管財人は、破産財団を増加させるために必要となる各種権限を付与されており、不正に流出した財産については「否認権」を行使して回収する場合もあります。
もちろん、自己破産した方ご本人の財産が全て換価されてしまうわけではなく、後述する「自由財産拡張」によって、原則的には合計99万円までの財産をお手元に残すことができるようになっています。
破産管財人の業務(2)自由財産の拡張に対する意見
自己破産した方ご本人の財産が、全て破産管財人によって換価されてしまえば、ご本人が経済状況を立て直して再出発することは非常に困難となってしまいます。
そこで「自由財産拡張の申立」という要請を裁判所に対して行い、ご本人の個別財産を「自由財産」に含める許可を得ることで、原則として合計99万円までの財産は、お手元に残せるようになっています。
「自由財産拡張の申立」を、どこまで認めるかについては、裁判所が「破産管財人の意見」を聞きつつ決定します(破産法第34条5項)。
ただ、裁判所は基本的には破産管財人の判断を尊重するため、自由財産拡張の可否という、ご本人にとって非常に重要な問題について、破産管財人の意向がそのまま反映されるケースが実際には多くなっています。
破産管財人の業務(3) 「免責に関する調査報告書」の提出
裁判所が免責許可や裁量免責の検討・判断を行う際も、破産管財人の意見は大いに参考にされます。
裁判所は、破産管財人に対して、「免責不許可事由の有無」や「裁量免責をするかどうか」を判断するための事情について、調査を命じることができます(破産法第250条1項)。
名古屋地方裁判所では全件について、破産管財人に「免責不許可事由等の調査」を命じる運用です。
調査を命じられた破産管財人は、自己破産した方ご本人の生活内容や反省の態度などを調査・監督した上で、裁判所に対して「免責に関する調査報告書」を提出します。
免責の可否を最終的に決定するのは裁判所ですが、破産管財人の報告書が「免責不許可事由は無い」との内容であれば、免責判断の上で有利になることは間違いないでしょう。
もし「免責不許可事由がある」という報告内容であっても、実際に破産者ご本人の生活を一定期間、調査・監督してきた破産管財人が「本人が反省しており、現在は健全に生活しているため、裁量免責が相当と考える」という報告内容であれば、裁判所としては重要な判断資料となるでしょう。
このように、破産管財人は、あなたが免責許可を得られるかどうかという点についても、非常に重要な立場にあります。
破産管財人の立場
前述のとおり、破産管財人は破産財団を増加させ、債権者に対して1円でも多く配当することを基本的な職責としています。
この姿勢自体は、破産手続における債権者の利益を実現する方向です。
ただ破産管財人は、ひたすら債権者の利益を追求する立場ではありません。
破産法は「この法律は(中略)債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする」と定めています(破産法第1条)。
自己破産した方ご本人の生活再建もまた、破産制度の目的なのです。
このように破産管財人は特定人物の敵や味方という訳ではなく、公平・公正な破産手続を実現するため、債権者その他利害関係人と、自己破産した方、双方の利益を適切に調整すべき立場にあります。
破産管財人の調査に協力し、真実を述べなければなりません
<免責不許可事由の一例>
★裁判所への調査協力義務違反(破産法252条1項8号)
★管財業務への妨害行為(252条1項9号)
★破産者の説明義務違反(252条1項11号・40号1項1号)
★重要財産開示義務違反(252条1項11号・41号)
★免責についての調査協力義務違反(252条1項11号・250条2項)
破産管財人は、破産財団を増加させるために様々な調査を実施し、また免責不許可事由の有無および裁量免責の可否についても、その判断のため調査を実施します。
自己破産した方ご本人は、こうした破産管財人の調査に協力し、質問事項にはきちんと回答しなければなりません。
破産管財人に対する虚偽申告や、非協力的な態度などの義務違反があると、裁量免責の判断上も非常にマイナス事情となってしまいます。
言いにくいことでも正直に全て申告し、正面から免責許可を目指していくことが、結果的には最も確実な再出発の方法であると当事務所は考えています。
破産管財人とは? 破産管財人がついた場合、どうなるか? まとめ
破産管財人がつくと、破産管財人によるこうした調査・対応が実施されます。
当事務所の弁護士は、自己破産の「申立代理人」となる業務を日々行っていますが、その一方で、裁判所に選任されて「破産管財人」の業務も行っています。
破産管財人が、どのような観点から業務を進めていくのか、自由財産拡張や、免責に関する調査報告書が裁判所内でどのように検討されているのかも、十分理解しています。
実務的な落としどころも含めて、解決までのプランを立て、免責許可を目指します。
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