★廃業後の従業員対応も、全て弁護士が行います。 ★源泉徴収票、離職票等の発行準備はお願…
会社・個人事業主の破産におけるポイント
会社代表者、個人事業主の方からの債務相談も増えています。
会社や個人事業主が破産する場合も、所定の調査を行った上で必要書類を揃えて裁判所に破産申立をすること自体は、サラリーマンや専業主婦などの方々が自己破産する場合と変わりません。
ただ、ほとんど資産を持たない一個人が破産する場合に比べると、会社や個人事業主の破産はどうしても規模が大きくなりがちで、手続も複雑になってきます。
会社や個人事業主の破産をスムーズに進めるために留意すべきポイントについて、一度整理してみたいと思います。
可能な限り、債権者のリストアップをお願いします
破産手続上の「債権者」とは、銀行や消費者金融・カード会社などの金銭を借りている相手だけではなく、未納が生じている取引先や賃貸物件の貸主なども含まれます。
税金や社会保険料、電気代、損害賠償債務など、何かしら金銭を支払う義務があるのに払っていない相手があれば、その多くが破産手続上の債権者となりますから、まずは可能な限りリストアップして報告をしてください。
「すぐに全て思い出すことはできない」というケースもあるかと思いますから、リストは完璧でなくても構いません。
ただ、会社破産・事業者破産においては多種多様なケースがあり、「債権者の数」や「負債総額」も、全く異なります。
当事務所としても、まずは「案件の規模」についてイメージを付けつつ、具体的な対処方針を立てていきますから、「債権者数」「負債総額」が後で大きく異なることがないよう、おおまかな状況は早期に把握させていただきたいと思います。
意図的な「債権者隠し」「一部債権者の特別扱い」はできません
知人や親戚から資金を借りているような場合、この方々も破産手続上の「債権者」です。
法律相談の際によく問題となるのが、知人や親族から資金援助を受けていたり連帯保証人になってもらっている場合に、「自己破産する事を知られてたくないので、黙ったままで進めたい」「親族だけ先に完済してから破産手続できないか」というご相談です。
結論から言えば、そうした行為は大いに問題があります。
全ての債権者は、これから始まる破産手続に関与し、債権者集会に出席したり、配当を受ける権利があります。これを破産する債務者側の都合で、債権者から外すような行動は許されていません。
また事業がもう倒産直前の状態になっているのに、特定の債権者だけ優先的に完済してから破産するようなことが通ってしまえば、返済を受けられなかった他の債権者は到底納得できないことでしょう。
これは道義的な問題だけではなく、債権者への配当資金を不当に減少させる行為として法的にも問題がありますから、後で破産管財人が法的手段を含めた回収を検討せざるをえなくなり、そうした方々に余計迷惑がかかってしまう可能性もあります。
当事務所でもそうした行為のお手伝いは了承できかねますので、ご注意をいただきたいポイントです。
未払給与がある場合に注意
従業員に未払給与がある場合は、従業員が破産手続上の「労働債権者」となります。
労働債権者がいるケースと、いないケースでは、具体的な破産申立準備の手順も異なります。
誰にいくら未払いがあるのか、解雇した場合はいつどのような形式で解雇したのか等、きちんと整理して進める必要がありますから、後々問題とならないよう事前にご相談を頂きながら進められることをお勧めしております。
リース又はローン中物件の確保
リースやローン中の物件は、月々の利用料や割賦代金の支払いが滞れば、債権者が引き上げていくものですから、すぐに返却できる状態でなければなりません。
時折、リースやローン中の物件が行方不明になっており返却できないケースが時々みられますが、こうした場合は、債権者にさらなる迷惑がかかってしまうことになります。
経営難による廃業自体は避けられなかった結果としても、せめて債権者に対する迷惑が無用に大きくならないように気をつけていただきたいと思います。
資料の確保
裁判所は提出された書面を見て状況を検討判断しますから、ともかく経営や資産・負債の状況を説明する資料が揃っていることが大切です。
「もう何年も前に廃業している」といったケースでは、関係資料がほとんど残っていないこともありますが、裁判所に対して「何もありません」では済まないので、どうにか手をつくして可能な範囲の資料を揃えていかなければなりません。
代表的な必要資料は以下のようなものです。資料が揃っていれば手続もスムーズに進みますから、廃業の際に散逸してしまわないよう注意してください。
会社・事業者の破産における基礎資料
・預金通帳
・決算書・確定申告書
・法人登記簿・不動産登記簿
・賃金台帳
・保険証券(火災保険でも自動車保険でも、保険と名のつくもの全て)
・その他証券類(出資証券、ゴルフ会員権、共済など)
・契約書類(賃貸契約書、リース契約書など)
費用の確保
実際問題として大きな問題となってくるのが、自己破産するための費用です。
事案が複雑になればなるほど、弁護士費用の方も高めにならざるを得ず、裁判所に納める管財費用も高くなります。
実際の金額はケースバイケースですが、比較的小規模の個人事業主破産でも、弁護士費用・管財費用を合わせて60万円以上が必要となることが一般的です。
会社・法人の破産であれば、会社本体と代表者個人の破産ということで2件の破産事件になりますから、費用は別々に必要となりトータル100万円では済まないことも多いので注意してください。
自己破産を決断された経営者の方の心境としてしばしば耳にするのが「あと数ヶ月なら何とかなるかもしれないが、いずれ限界がくるので、この機会に廃業することにした」というお言葉です。
これまで十分頑張ってきて、悩んだ末の決断だったかと思いますが、実際に破産の準備に入って会社の資産状況を調査してみると、破産手続を進めるための資金確保は結構ギリギリだったということも珍しくありません。
破産するための費用も無くなってしまうと、その後の後始末や債権者への説明をする人もおらず、債権者や賃貸人に対してさらに迷惑を掛けてしまうという側面もありますから、決断のタイミングを見誤らないように、くれぐれもご注意いただきたいと思います。
経営者のご協力が不可欠です
取引先や金融機関に対する説明や対応は、ご依頼を頂いた時点で当事務所が窓口となって進めますが、破産準備のため経営者ご本人にもご協力を頂く部分が多々あります。
例えば保険関係の解約手続は、契約名義人ご本人でないと進められない場合が多くなりますし、社会保険や税務関係の廃業手続なども、経営者ご本人が窓口に行かれた方がスムーズでしょう。
破産書類作成の際には、通帳や決算書上に記載された入出金の意味や、会社の構成について詳しくお聞きしていくことになります。
こうした経営者のご協力が破産書類準備のために不可欠となっています。
スムーズな廃業、破産申立に向けて
このように会社・個人事業主の自己破産は、説明すべき事項や必要資料も多く、中々大変な手続です。
経営資料が散逸していたり、破産資金が不足していたりすると、さらに手続が難航してしまいますから、そのような状態を回避するためにも、まずは早めの法律相談をお勧めしております。
初回の法律相談で決断される方よりも、何度か相談を実施する中で最終的に決断される方がむしろ一般的な状態となっておりますから、少し余裕のあるうちから十分検討する機会を持つことが大変重要と考えております。
詳細については、面談にて弁護士が詳しくご説明を差し上げます。
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